そもそも、在宅医療って何？
〜在宅医療では、定期的な「訪問診療」をベースに、緊急時には臨時の「往診」を行う〜
在宅医療とは医師が自宅に行って診療を行うことを指しますが、在宅医療を理解するにはまず「訪問診療」について理解する必要があります。
- 訪問診療：医師が定期的に自宅に診療に行くこと（例：毎月第2月曜日、毎週水曜日など）
「訪問診療」とは、医師が自宅または施設に定期的(一般的に月に1回から2回)に訪問し、計画的に健康管理を行うものです。こちらが在宅医療の基本となります。
- 往診：患者側からの要望に応じて、臨時で自宅に診療に行くこと（例：熱が出たので来て欲しい）
医師が自宅に行って診察をするというと「往診」という言葉を思い浮かべる方も多いと思いますが、「往診」は患者さんもしくはご家族の要請を受けてその都度診察に行くもので、一般に臨時往診と言われるように臨時のものです。
この、「訪問診療」と「臨時往診」を組み合わせたものが在宅医療となります。狭義の在宅医療に加えて訪問看護や訪問歯科診療、訪問薬剤指導に訪問栄養指導など、在宅で行われる医療全般を含む在宅における医療の総称として在宅医療という言葉を使用する場合もあります。
在宅医療が受けられる人って、どんな人？
〜在宅医療の対象は通院が困難な方で、疾患や介護度による区分はない〜
在宅医療の対象者は保険診療上の定義では、以下のように定められています。
在宅で療養を行っている患者であって
疾病、傷病のために通院による療養が困難な者
つまり、病気を持っていて、通院が困難な人ということです。特定の病気の方のみに行われるものではありませんし、寝たきりなど、いわゆる重症の方のみが対象となっているわけではありません。
除外基準として、「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者」と通知されていますので、自力で通院できる人は、たとえ在宅医療を望まれたとしても、保険診療で在宅医療を行うことはできません。
実際にどんな人が在宅医療を受けるべき？
在宅医療が適応となる具体的な例を挙げると
・高齢で筋力が低下し、家族が病院に連れて行くのも難しい方
・認知症があり、通院に強い抵抗を示される方
・腰椎の骨折をきっかけに自力での通院が困難となった独り身の方
・夫が付き添ってなんとか通院していたが、その夫が亡くなり通院ができなくなった方
・車椅子で通院していたが、病状の進行に伴い車椅子への移乗が困難となった方
・悪性腫瘍（ガンなど）の末期となり、自宅で過ごすことを希望している方
・老衰で最後の時を迎えるのに、自宅をその場所として希望される方
・先天性の神経難病を抱え、自宅での生活は可能だが急変の可能性がある方
・脳性麻痺などの疾患を抱えた小児
といった様々な場合が広く対象となっています。
大きく分類すると、以下の方々が対象となることが多いと思われます。
ただし、上記にも記載しましたが、在宅医療が受けられる人は疾患で決められているわけではありませんので、ご不明な点は担当医や担当ケアマネにお聞きになることをお勧めします。
どこからでも訪問してもらえるの？
〜在宅医療が行えるのは医療機関から16km圏内〜
訪問診療を行えるのは、医療機関から16km以内の範囲と決まっています。このため、あまりに遠くの医療機関から訪問診療を受けることはできません。また、在宅医療では緊急で臨時往診が必要となることもあるため、往診を要請してから実際に来てもらうまでに1時間以上かかるような場所では、仮に16km以内に医療機関があるとしても、いざという時にすぐ来てもらえない可能性があり、注意が必要です。
